抗生剤の適正な使用についてーその1ー
現在抗生剤の不適切利用により、耐性菌(抗生剤の効かない細菌)が増えているとこが社会問題になっております。
昔からよく言われていたことに「耳鼻咽喉科は強い薬を出すから、内科に行って治らないときは耳鼻科へ行くといい」ということがありました。
これは何が違うというと、強い薬=抗生剤(抗生物質、抗菌剤ともいいます)を処方するかどうかなのです。一般的に風邪には抗生剤は効きません。なぜなら風邪はウイルスが原因で生じたものだからです。
ではなぜ風邪に抗生剤を出していたのでしょうか?
ウイルス感染で弱った粘膜に、後から細菌がくっついて細菌感染を起こした状態には、抗生剤が必要になってきます。必要になるかどうかは、最初に診断した時点ではわかりません。
以前はこの「後で抗生剤が必要になるかもしれない」という状態に、あらかじめ抗生剤を予防投与していたことになります。予防投与により何も悪いことがなければ、全く問題ありません。予測してそれを防ぐのですから万々歳です。
しかし悪いことだらけなことがわかっています。
その1、抗生剤を含めお薬には副作用があります。
私はあまりお薬自体を多用しない医師ですが、それでも副作用を数多く経験しています。本当に申し訳ないと思いますが、ある意味仕方がないことではあります。
でも、なるべく不要なお薬は使用しないで治していきたいと考えております。
そのため、アレルギーでもない患者さんに永遠と抗アレルギー剤を処方しないよう、風邪の患者さんに抗生剤を出さないよう、心がけて対応しています。